概略

「EUREKA」は孤崖と呼ばれる球状の壁によって覆われ、外界より隔絶された封印空間に浮かぶ浮遊大陸である。
EUREKAは、この世界と良く似た自然環境を持ち、生態系も似通っているが、異なる点もある。
この世界との大きな違いのひとつは、ヒトXX個体が誕生前に致死となるため、人類に男性しか存在しないこと、その為に自然の有性生殖によらない、独自の方法で種を維持している点である。
この閉じられた小さな世界が、「EUREKA」の舞台となる。

EUREKA世界地図(JPG)  EUREKA世界地図(PDF)


重要事物

オリジナル同人BLゲーム「EUREKA(エーヴリカ)」重要事物

神の塔

この大陸の中心部には「神の塔」と呼ばれる巨大な塔がある。塔は「全ての終わり」の前から存在していたとされ、誰がいつどのような目的で建造したのか謎に包まれている。それ故、マルディス教が広まる前から、人々はこの塔を畏怖してきた。

この塔には、世界の始原と終末に関わる神の知識が格納され、またその最深部には神そのものが封じられているとされている。それ故「神の塔」を管理するマルディス教団は、塔の周囲に幾重にも強力な結界を張り、塔への侵入を防いでいる。
神の塔は聖都ファティマの中央に存在する淡水湖、ルルドの中心部に立地している。塔に入るためにはこの湖を越えねばならないが、湖そのものに強力な結界が張られているため、通常の方法では進入できない。教団関係者は湖の外から神の塔へと通じる特別なゲートを使用している。このルルド湖の結界は千年前にマルディス本人が施したものと言われている。その後結界はさらに強化され、塔へと通じるゲートも厳重に管理されている。

神の塔はマルディスが神の智慧を得た場所とされており、教団にとってはそれそのものが神聖な「御神体」に当たる。塔内には神の知識が書かれているというという「アツィルトの書」及び、EUREKAに住む人類の生命を生み出す「生命の月」が安置されており、一般教団員も立ち入ることはできない。神の塔に隠されている力を知る者は、教団の中でもごく限られた一部の幹部のみである。


生命の月

「生命の月」は、EUREKAに住む人々の命の源である。白い球形をしており、淡く発光している。これがどのような物質で作られ、どのような原理で動作しているのかは不明。
現在、生命の月は12個が確認されており、そのうち過半数の7個をマルディス教団が管理している。残り5個の生命の月は、インディナス・マイヤーが2個、火那乃国、シオウル・セルとレジデンツと呼ばれる人々の集団が1個ずつ所持している。

マルディス教団が管理している7個の生命の月は「誕生の月」とも呼ばれ、神の塔の地下に安置されている。生命を司る高位の神官のみがその中に入ることを許される。教団は誕生の月を管理することで、EUREKAの人口調整を行っていると言える。

マルディスの得た神の知識によると、生命の月は13個あると伝えられているが、残り1個の行方はまだ分かっていない。13番目の生命の月は「隠された黒き月」と呼ばれ、本当にそれが実在するかどうか論議が続いている。


アノマリー

正体不明の存在。意志を持つかのように行動するが、明らかに通常の生命体とは異なり、物質的な肉体を持っていない。アノマリーが存在する場所は空間が歪み、その跡地に時空連続体欠損と呼ばれる後遺症を残す場合がある。アノマリーがどのように生まれるかは分かっていない。

アノマリーは概して攻撃的であり、またアノマリーに長時間接触していると「アノマリー汚染」と呼ばれる精神障害を起こす場合が多いため、発見され次第駆除される。外部から一定以上のダメージを与えると消滅するが、物理的な攻撃はあまり効果がない。

世界にはいくつか、アノマリーが頻繁に発生する「アノマリーの巣」と呼ばれる特異点が存在し、危険なため封鎖される。それ以外の突発性アノマリーについては、いつどこで発生するかは予測不可能であるが、発生頻度はそれほど高くない。一般の人々にとってはアノマリーは身近な存在ではないが、脅威であることには変わりない。

アノマリーの殲滅には特殊な素養が必要であるため、教団や火那乃国では、専門の対アノマリー部隊が編成されている。


全ての終わり(ワールドエンド)

約二千年前に突如EUREKA全土を襲ったと言われる大災厄(カタストロフィ)。それが何であったのかは未だに究明されていない。
その大災厄により、あらゆる生命体の99%は死滅し、それまで存在していた先史文明は完全に崩壊したと言われている。
(ただし、インディナス・マイヤーには大災厄以前の記録が明確に残されており、火那乃国は伝承によれば「全ての終わり」を乗り越えた人々の子孫であると伝えられているため、少なくとも一部の文明はこの災厄を乗り越えたと考えられている)

それが再び起こるのか、起こるとしたらいつなのか、それを乗り越えるもしくは回避できる術はあるのか、全ては謎のままである。


テトラダート

テトラダートは「4つの神の知識」と呼ばれ、神の塔とEUREKAに関する重要な記述が書かれている秘本である。
元々神の塔には、マルディス教団の所有する「アツィルトの書」、インディナス・マイヤーが所有する「アッシャーの書」を含め、全部で4册の書物があったとされている。現在、残り2册「ブリアーの書」「イエツィラーの書」の所在は不明。

テトラダートはその実物を見た者がほとんど存在しないという幻の書であるが、「書物」というのは便宜上の呼び方で、実際には書物とは似ても似つかない姿をしている。厳密に正八面体にカットされた透明な単結晶の物体で、特殊な方法で「情報」が封印されている。情報の出力には読み出す側も相応の力が必要であるため、テトラダートに封じられた情報を正確に知るのは至難の技である。

かつてマルディスは、神の塔に収められていたテトラダートのひとつ「アツィルトの書」を完全に理解し、神の智慧を得たと伝えられている。


聖剣デュランダル・魔剣レーヴァテイン

デュランダルはファティマのヴェーグナー家に伝わる聖剣である。白く光沢のある金属質の柄に、薄青く発光する半透明の刀身を持つ。千年前、マルディスの守護騎士であったジードがマルディスより賜った剣と伝えられている。所有者を選ぶ剣と言われ、素養のない者には扱えないとされている。

デュランダルには、レーヴァテインと呼ばれる対となる剣が存在する。形態はデュランダルとほぼ同じであるが、黒い光沢のある柄に、赤く発光する半透明の刀身を持っている。レーヴァテインは長らくその所在が不明だったが、シオウルの守護騎士であるイシュトが帯刀していることから、現在はシオウル・セルが所有していることが明らかとなっている。

両剣とも、使用者の精神に同調し、使用者の魔力、身体能力を劇的に上昇させる能力を持つ。ただし、剣に同調できるだけの精神集中力を必要とするため、ただ剣を持つだけではその力を引き出すことはできない。これが「剣が所有者を選ぶ」と言われる所以である。また、この強化能力は使用者にもかなりの負担を強いる。そのため「使用者の生命力を削る呪われた剣」とも呼ばれるが、実際に生命力を吸い取っているわけではない。

現在知られている魔導技術では解明できない機構が搭載されており、神の塔建設時代の遺物ではないかと推測されている。また、剣の形態をしているが、本来は全く異なる目的で作られたものである可能性も示唆されている。


箱舟(アーク)

EUREKAの各地には巨大な神の乗り物「箱舟」の伝承があるが、その現物はどこにも残っていない。
レジデンツの古村であるクヌーセンには、箱舟伝承に由来する創世神話が伝えられている。


世界情勢

オリジナル同人BLゲーム「EUREKA(エーヴリカ)」世界情勢

マルディス教団

EUREKAの世界宗教、マルディス教と「神の塔」を管理している宗教組織。
強大な影響力を持ち、統治範囲は大陸の全域に広がる。「神の塔」を中心に広がる聖都ファティマは教団の総本山であり、EUREKA最大の都市である。

約二千年前に世界を襲った「全ての終わり」と呼ばれる災厄により、大陸の99%の生命体が死滅し、人類文明は崩壊した。EUREKAの地は荒廃し、長い戦乱と貧困、混乱と混沌の時代が続いた。
「全ての終わり」から千年後、マルディス・ナハト・ゾハルという一人の青年が、「神の塔」で神の真理を得、多くの奇蹟を起こしてマルディス教の開祖となった。マルディスは世界に安寧をもたらすために、自らの身を神への供物として捧げ「神の塔」に召されたと伝えられている。

その後、「十二使徒」と呼ばれる彼の十二人の弟子達が、マルディスの遺志を継ぎ現教団の基礎を築く。教団は初代教皇となった十二使徒筆頭のエリヤ・ルツ・アーレンフェストを中心に、各地で戦乱が続く混沌の大陸の全域を平定し、現在に至る。

十字の意匠を教団のシンボルとしている。これはマルディスが神の塔に召された時、十字型の棺に入っていたことに由来する。


シオウル・セル

「裏切りの使徒」シオウル・ツィツムを始祖とする魔術結社。
シオウルはマルディス教の開祖、マルディス・ナハト・ゾハルの弟子の一人であったが、彼を害しその力を奪ったとされる。シオウルはマルディスから奪った力により、肉体を失っても精神は滅せず、別の肉体を宿主として再生すると言われ、結社の長が何世代にも渡って「シオウル」の名を受け継いできた。

シオウルは教団より「世界の敵」と呼ばれ、最大の異端者と評される。シオウルを支持するものは教団より異端者として罰せられるが、彼の説く魔導理論と並外れた魔力、そして強烈なカリスマに魅せられた者たちがその元へ集まり、現組織の母体となった。

教団の粛清を避けるために、シオウル・セルの周囲には強力な結界が張られ、結社員でなければ内部に入ることはできない。また、結界によってその存在位置は隠され、彼らの拠点が何処にあるのかは外部には一切秘匿されている。


火那乃国

他文化とは隔絶した、独自の文化と生活様式を守り続ける国。
険しい山脈に囲まれた東方の火山地帯にあり、この厳しい自然環境が天然の要塞となっている。唯一マルディス教団が不戦条約を交わして統治を諦めた国でもある。
火那乃国の武人は「剣法」「忍術」「陰陽」という独特の武技と、厳しい肉体の修練によって極めて高い戦闘能力を持ち、過去教団の聖騎士団を何度も撤退に追い込んでいる。

火那乃国はマルディス教団よりも長い歴史を持つ古国であり、伝承によれば、彼らはかつて焔の神と契約を交わし「全ての終わり」を生き延びた人々の子孫であるとされている。

焔の神と交信する能力を持つ者は「焔の巫子」と呼ばれ、一族の生命線を担っていると考えられている。この交信能力は血筋によって遺伝するため、彼らは古代より続く純粋な血統を非常に重んじ、他国の住人との血の交わりを禁じている。
特に、燃える焔のような紅い瞳を持つ「火の一族」と呼ばれる人々は、代々焔の巫子を輩出しているため、その血を絶やさぬように徹底した血統管理がなされている。


インディナス・マイヤー

太古の昔より伝わる古代技術を伝え続ける集団。
北方の寒冷地方に本拠を置く。魔導理論とは異なる特殊な技術を用いた文明を形成している。
インディナス・マイヤーは非常に閉鎖的な集団で、伝えられている技術を外部に流出させることなく、古来より政治には介入しない中立の立場を守っている。

インディナス・マイヤーの発祥はマルディス教団や火那乃国よりも古く、その知識は「神の塔」建造時の時代に由来すると考えられている。かつてその技術により、世界を襲った大災厄「全ての終わり」すら、文明ごと乗り越えている。

住人の絶対数は少なく、また人口の増減も少ない。これは住人の多くがナノマシンを体内に宿すことで300年近い寿命を保っており、彼らが新しい子供を産むことも稀なためである。「生命の月」を二つ所有しているが、ひとつは非常時の予備であり、ほとんど起動させていない。
インディナス・マイヤーでは「七賢者」と呼ばれる実体を持たない七体の人工知能が住人の生活を管理している。


レジデンツ

いずれの勢力にも属さず、自然の中で日々を生きる人々の総称。
統治者はなく、自給自足の共同体を形作っている。教団の干渉を逃れる為、多くは孤崖に近い大陸周辺部の人里離れた山奥で、静かに暮らしている。

明確な教義のある宗教が存在しているわけではないが、原始的な自然宗教が住人の間に根付いている。特にEUREKAの決して欠けない月を神の慈悲の光として、信仰のシンボルとしている。


文化形態

オリジナル同人BLゲーム「EUREKA(エーヴリカ)」文化形態

生殖・婚姻

結婚・家族構成

EUREKAの住人の多くも、自分に合うパートナーを見つけて結婚し、家族を構成する。互いに結婚の合意をし、婚姻の儀式を行うことで正式に配偶者として認められる。
ただしEUREKAでは、恋愛と結婚(出産を伴う)は明確に分けられているため、必ずしも恋愛の相手と結婚できるとは限らず、高い家柄の出身者は世継ぎ問題や様々な事由で予め結婚相手が決められている場合も多い。

婚姻の儀式の方法は、それぞれの文化形態によって多少異なるが、結婚する二人がこれから共に支えあい、生きていくことを誓うという基本は変わらない。時には激しい三角関係や、不倫が起きたりするのも、我々の世界と何ら変わりない。
マルディス教の統治地域では、その地方にあるマルディス教の教会で式を挙げるのが一般的である。

マルディス教では特定のパートナー以外との姦淫を不道徳な行為としているため、その教えに従い、教団領においては一夫一婦制が敷かれている。
一方、火那乃国では血統を守るために一夫多妻制が行われている。特に火の一族では血筋を絶やさぬため、一族の頭領は正室の他に50人近い側室を抱えることも珍しくない。
また、インディナス・マイヤーでは、子供の誕生自体が稀であるため、家族という構成をとらず、誕生した子供は共有財産として公共の教育施設で育てられるのが通例である。

EUREKAでは両親ともに「父親」であるが、厳密には、Y染色体提供者が正式な父(正父)とされる。X染色体提供者は「補父」と呼ばれるが、略式では両者とも父である。
父母の区別がないのは不便に感じるかも知れないが、英語圏で姉妹(sister)、兄弟(brother)の区別がないのと同じような感覚である。

EUREKAにおいてはY染色体が重要な意味を持つため、家系は正父(Y染色体提供者)によって代々引き継がれていく。これは一夫多妻制を敷く火那乃国でも同様である。
火那乃国の火の一族や、ファティマのヴェーグナー家、アーレンフェスト家のような千年を越える長い歴史をもつ家系においても、代々の当主は共通のY染色体を受け継いでいることになる。

これを突き詰めると、EUREKAの全人類は共通のたった一人の父から受け継いだY染色体を宿していることになる。この全人類の父は「アダム」と呼ばれ、EUREKAに住まう全てのヒトは「アダムの子」であると表現される。

恋愛・性産業

EUREKAにおいては、男同志の恋愛はごく自然なありふれた光景である。性欲もあり、互いに気に入れば性交に至る場合もあるが、EUREKAの世界では性交と生殖が完全に分離しているため、我々の世界の男女に比べると、多少そこに至る敷居は低い。

反面、EUREKAでは生殖に密接に結びつく結婚に対してはかなり慎重である。彼等の間では、それだけ子供を誕生させるという行為は神聖で責任を伴うことであると考えられている。

EUREKAには性産業も存在し、専門の男娼を囲った売春館やカップルのための宿泊施設、不特定多数の相手との出会いを求める大人の社交場など、性欲を発散するための様々な施設も存在する。

ただし、マルディス教では特定パートナー以外との乱交は不道徳な行為とされているため、教団領内ではこれらの施設は非合法とされている。しかし、需要がある限り供給もあり、非合法とされながらもかなりの数の性産業施設が存在しているのも現実である。

一方火那乃国では、国の統制と保護の許に公許の男娼が売春を行う遊郭と呼ばれる施設が存在し、性産業も盛んである。遊郭が立ち並ぶ地域は花街と呼ばれ、一種独特の文化を形成している。

インディナス・マイヤーでは住人の絶対数が少ないため、生身の人間がサービスを行う形の性産業はほとんど存在しない。代替として、性的な目的のために特化された自動人形(ゴーレム)や、脳への刺激により擬似的な性的興奮が得られるシミュレーションが開発され、人気を博している。

生殖

EUREKAの住人は全て男性であるため、子孫を残すために特殊な方法を用いる。

晴れて結婚した二人が自分達の子供が欲しいと願った場合は、「生命の月」の力を借りることになる。文化形態によって多少の手続きは異なるが、まずは生命の月を管理する人間、または組織に申請し、認可が降りると儀式を執り行う。

生命の月を浸した水(生命の水)と、沈殿物(月の欠片)を聖別された特別な器に満たし、その中に両親の血液と精液とを入れて密封する。その際、正父側(Y染色体提供者)が精液を、補父側(X染色体提供者)が血液を提供する。容器は誕生の祭壇に7ヶ月間安置され、その間は決して蓋を開いてはいけない。赤子は器に満たされた「生命の水」の中で育ち、7ヶ月後には完全な人の形となる。赤子は臍の緒で「月の欠片」に繋がれているので、器から取り出す際は、それを切断する。

このようにして産まれた赤子は、Y染色体は正父側から、X染色体は補父側から、そして体染色体は両親から半分ずつ受け継いだ、正真正銘の二人の子供となる。
子供はインディナス・マイヤーなどの特殊な例を除き、そのまま両親の手で育てられるが、性差による役割分担がほとんどないため、両親は同等な立場で子供を育てるのが普通である。

生命の月から産まれる子供は基本的に一人だが、ごく稀に双子が産まれることがある。双子は遺伝情報が完全に同一となる。しかし、ほとんどの場合どちらかが死産になるか、重い障害を持ったり、能力が著しく劣化するため、双子は凶事の徴とされている。

インディナス・マイヤーなど古の知識を継承する一部の地域においては、極めて高い生命工学が発達しており、遺伝子操作技術(火那乃国ではこの技術は「鬼道」と呼ばれる)も確立している。しかしこの場合ですら、EUREKAにおいては生命の月の力を借りねば、ヒトを誕生させることはできない。生命の月の力を借りずにヒトを人工的に発生させようとした場合、遺伝情報やタンパク質組成が正しくとも、それはヒトの形をとらない肉塊となり、生命を宿すことはない。

この現象はヒトXX個体を発生させる場合も同じであり、人工的に遺伝子を操作し、XX個体を発生させると、やはりヒトの形をとらない肉塊となる。古来よりヒトXX個体を人工的に発生させる試みが何度も行われたが、いかなる方法を用いても、ヒトXX個体の致死性を取り除くことはできなかった。
研究の結果、EUREKAにおけるヒトの誕生には、Y染色体とそれに対する生命の月の何らかの働きかけが絶対的に必要であることが示唆されている。

生命の月がどこから産まれ、そしてどのような仕組みで新しい生命を生み出すのかは解明されていない。生命の月は神の塔を造りしものがEUREKAの地に与えた賜物だとも言われているが、伝承の域を出ていない。
しかしそれがどのようなものであれ、生命の月を失うことは種族の存続に関わることに違いなく、その維持については最大限の厳重な管理下におかれている。

言語

セロン語

EUREKAには、複数の言語体系が存在している。
現在、大陸の共通語として最も普及しているのが「セロン語」と呼ばれる言語である。
セロン語は、マルディス教団が公式に認めるEUREKA共通言語であるが、元々は複雑な魔法体系や、高度な呪術を書き記すための上位言語「セリウス語」の簡易バージョンである。
セロン語は21の文字と、短い文節で区切られる簡潔な文法を持ち、比較的誰でも修得が可能であること、その割には表現力が高いこと、またセリウス語の力を弱いながらも受け継ぎ、原語のままで簡単な呪法なら発動可能であることなどから、多くの人々の意思疎通のための共通言語となっている。

セリウス語

EUREKA共通言語「セロン語」の上位言語に当たる言語。
こちらの方が起源が古く、古代の魔導書などにもセリウス文字が刻まれている。
ただし現在のセリウス語は、長い年月の間に少しずつ形を変え、古代セリウス語とはかなり異なっている部分もある。

セリウス語は別名「魔導言語」と呼ばれ、魔法を発動する力を秘めた言語である。
その力は詠唱においては音として発動し、魔法陣やサインにおいては文字として発動する。
発音でも表記でも力を発動することができるため、どんなクラスであれ、魔導を目指す者であれば、必ず修得しなければならない必須言語となっている。

セリウス語にはいくつかの段階があり、上位言語ほど複雑な文法と多くの正確な発音を扱わねばならず、修得が困難になる。
低位の魔法であれば、もっとも簡略化された(セロン語に近い)段階の言語を修得すれば十分だが、高位の魔法を扱うのであれば、それに見合ったレベルの言語を修得しなければ、正しい詠唱を行うことができず、術者に危険が降り掛かることになる。

倭語

火那乃国で使用されている言語。
何千という特徴的な多くの文字(倭字)を使用する。倭字には文字ひとつひとつに「意味」が込められており、基本的に表音文字であるセリウス-セロン言語体系とは大きく異なる。

倭語もセリウス語に似た「力の発動能力」を秘めた言語であるが、セリウス語と異なり、文字そのものに力が宿っている。セリウス語では、発動方法が詠唱であれ筆記であれ、文字そのものはただの記号に過ぎず、それがある繋がり(センテンス)になった時にはじめて力を持つのに対し、倭語では、その倭字ひとつひとつがそれぞれ固有の力を秘め、さらにそれらを組み合わせることで、力を重ね合わせ、倍加させることもできる。

火那乃国の住人は、この神秘的な倭字を尊び、魔除けとして家に飾ったり、戦士であれば防具や武器に刻むことも多い。
倭字には何千と言う種類があり(もちろんその全てを修得しなくても会話には支障はない)、文法もセリウスーセロン語とは全く異なるため、この言語は火那乃国の住人以外にはほとんど広まっていない。

火那乃国は他国との交わりを絶っている閉鎖的な国であるが、近世ではEUREKA共通言語であるセロン語の重要性も鑑み、教育も行っている。
そのため、特に若年層では両方の言語が使用できる住人が多い。

ユーリ語

インディナス・マイヤーの一部で使用されている言語。
正確には言語というより、記号式に近い体系を持つ。非常に特殊な文法を持つ言語で、短い表記で明確な意味を伝える。その代わり、冗長な文章で中途半端な内容を伝えることには適していない。

ユーリ語は特殊な用途向きの言語であるため、インディナス・マイヤーの中でさえ、日常会話ではあまり使用されることがない(通常はセロン語が使用されている)。

ユーリ語は主に「技師(マイスター)」と呼ばれるクラスが使用する命令(コマンド)という特殊技能の発動に使用される。コマンドは魔法と良く似た技能であり、実際に両者は同一であるという理論もある。コマンドを使用することで、技師は意図的に物理現象の一部を一時的に改竄することができる。

また、ユーリ語はインディナス・マイヤーの特産品でもある「電脳」を操るためにも使用される。電脳の技術自体、インディナス・マイヤーが伝える古代技術のひとつで、自動人形(ゴーレム)の人工知能に使用されるなど、非常に応用範囲の広い万能装置であるが、技師による命令が下されなければ何の用も足さない。電脳は基本的にユーリ語しか理解することができないため、技師が電脳を操作するのにユーリ語は必須となる。

ユーリ語は起源不明の大変古い言語であるが、初めから余りにエレガントに洗練された言語であったため、現在に至るまで、ほとんど原形を残したまま使用されている。
テトラダートのひとつ、インディナス・マイヤーが所有する「アッシャーの書」はユーリ語で記述されており、神の塔建造時代の太古の文明でも使用されていた言語であると考えられている。そのためインディナス・マイヤーでは、ユーリ語を「神の言語」と呼んでいる。

古代言語

EUREKAには現在では失われてしまった古代言語がいくつか存在する。そのひとつが、セリウス語の起源である古代セリウス語である。

マルディスの時代や、それ以前に編み出された古代の高位魔法の一部は、古代セリウス語でなければ発動は不可能であるが、現在では正しい発音や表記が失われているものもあり、発動に危険を伴うため禁呪とされている。
しかし、シオウル・セルの高位魔導師やマルディス教団の高位神官には、今も古代セリウス語が伝授され、不完全にせよそれらを操ることができると言われている。

実際にシオウル・セルの主宰であるシオウル・ツィツムは、古代セリウス語による禁呪により、肉体を乗り換えて千年前より生き続けており、彼は現在でも発動法が失われた古代魔法を扱うことができるとされている。
また、神の塔を中心としてファティマ一円を覆っている広大な守護結界は、かつてマルディスが古代セリウス語を用いて完成させたものであると言われ、千年が経過した現在でも効力を保っている。

またEUREKAには、古代セリウス語、ユーリ語と並ぶ原初の言語が存在する。
神の塔で発見されたこの言語は「コドン」と呼ばれ、ユーリ語に通じる特殊かつ簡潔な文書形態を持ち、わずか4種類の文字のみを使用する。それらの組み合わせにより、複雑なセンテンスを編み上げていく独自の記述法を持っている。

ただし、現在ではその知識は失われており、解読することができない。仮に解読できたとしても、恐らく人間には発音することはできないだろうと推測されている。
テトラダートのひとつであり、マルディス教団が所有するマルディス教の聖典「アツィルトの書」は、この原初言語で記述されている。

経済

食生活

EUREKAの食生活は、概して質素なものである。どの地方にも農耕や畜産を営む人々がおり、それぞれの特色を活かした特産品が存在する。
彼等の生活は基本的に自給自足で、余剰分を市場に出し、売買や物々交換をして生計を立てている。
開けた町には大抵大きな市場があり、各地方から集まった食材が並ぶ。訪れた人々に手作りの食事を出す店もある。

マルディス教団の管轄地域では、月に一度、日々の豊かな実りへの感謝をこめて、教団への供物が献上される。それらは教団内で聖別された後、一部を神に捧げ、残りは教団内の貴重な食料となる。
教団自身も広大な土地を所有しており、そこで収穫された食料は教団員に配給される。
火那乃国でも同様に、各地域を納める一族に食物が上納され、代わりに地域内の秩序を守り外敵から守るという関係になっている。
シオウル・セル、及びインディナス・マイヤーでは、社会的には平等なコロニーが形成されているため、上納や献上というシステムは存在せず、閉鎖された社会の中で自給自足のサイクルが成り立っている。外貨は希少性の高い魔法生成物や自動機械などを売買することで獲得される。

貨幣

EUREKAで最も流通している貨幣は教団貨幣「ロニー」である。教団領は勿論、教団領外でも固定的な価値が認められるため、ほぼEUREKA全土で取引可能となっている。
火那乃国には独自の通貨「丹」が流通している。丹は国内の為替所により、固定レートでロニーと換金可能になっている。
またインディナス・マイヤー内では貨幣単位はロニーを基本としているものの、電子情報による売買が中心のため、キャッシュマネー自体が使われていない。


地理・自然

オリジナル同人BLゲーム「EUREKA(エーヴリカ)」地理・自然

自然環境

昼と夜

浮遊大陸を周回する「大きな光」(太陽)と「小さな光」(月)によって、昼と夜が区別される。
太陽と月が昇る方角を東、沈む方角を西として、方位が決められている。
我々の世界と同様、月が沈み、太陽が昇ると朝になり、太陽が沈み、月が昇ると夜になる。
EUREKAの月はひとつで、常に満月であり、満ち欠けすることがない。

一日は14の時刻で区切られている。7つの時刻が昼、残り7つの時刻が夜に当たる。
我々の世界の時間で換算すると、1時刻は約2時間に相当するため、EUREKAの一日は約28時間となる。
また、1時刻は100時分である。闇明の刻と水明の刻の中間は「闇明の刻50時分」となる。

闇明の刻 黎明
水明の刻 曙光
土明の刻 早朝
火明の刻 上午
風明の刻 午前
光明の刻 正午
命明の刻 午後
闇暗の刻 下午
水暗の刻 黄昏
土暗の刻 夕闇
火暗の刻 宵闇
風暗の刻 夜半
光暗の刻 昏黒
命暗の刻 深夜
1~7の刻は、それぞれ以下の象徴を持っている
1.闇・死と再生
2.水・覚醒と分裂
3.土・成長と適合
4.火・緊張と闘争
5.風・進化と発展
6.光・融合と調和
7.命・完成と成就

一年は7つの月で区切られ、1ヶ月は49日である。よって一年は343日である。
一週間は7日であり、7つの曜日が7回繰り返されると一月となる。
例えば、「闇の月水の週光の日」は一月第二週六日目を表す。
尚、EUREKAには四季がなく、常に気候は一定である。

尚、独自の年号として、教団領では、マルディスが神の塔に召された年を起点とした聖暦が使用されている。
火那乃国では、初代の焔の巫子・アカツキが焔神と契約した年を起点とした焔暦が使用されている。
EUREKA本編の物語の始まりは、聖暦999年、焔暦2009年である。

生態系

EUREKAでは、ヒト以外の動植物の多くは我々の世界と同様、有性生殖を行う。
有性生殖を行う生命体ではXX個体(雌)とXY個体(雄)が存在するが、ヒトのXX個体は必ず致死となる。

古来より様々な研究が重ねられてきたが、ヒトXX個体の致死性を取り除くことはできなかった。
何故ヒトだけが性がひとつしかなく、生殖を生命の月に頼らなければならないのか、この世界の深い謎とされている。
マルディス教では、そのことこそがヒトが他の動物と分かつ大きな差であり、ヒトが神に選ばれた生命体である証だとしている。

地形と気候

EUREKAは球状に広がる封印空間の中に浮かぶ浮遊大陸である。大陸の面積は約800万平方km。
大陸中央部は温暖で過ごしやすく、平坦で肥沃な土壌は農作物に豊かな実りをもたらす。
東方は険しい山岳地帯となっており、活火山が存在する。(火那乃国の統治地方に当たる)
北方は寒冷地方で農作物の育成には適さないが、多くの天然資源が埋蔵されている。(インディナス・マイヤーの統治地方に当たる)
南方は高温多湿地方で、EUREKA唯一の海が存在し、漁業も行われている。
主な都市は大陸の中央部にあり、未開拓な地域が多い周辺部はレジデンツ達の住処となっている。
尚、大陸の端は「孤崖」と呼ばれる見えない壁で封鎖されており、孤崖の外部は封印空間に繋がっている。

町・遺跡

聖都ファティマ

マルディス教団の総本山が存在するEUREKA最大の宗教都市。内部に「神の塔」を有する。
中枢部にはマルディス聖騎士団など、教団の関連施設の本部が多く存在している。
都市周辺部には富貴層の邸宅や、教団関係者が多く居住している。
フェンの実家であるヴェーグナー家、イシュトの実家であるアーレンフェスト家もファティマにある。

神の塔を中心にして、マルディスが施したと言われている広範囲の守護結界が都市全体を覆っている。
都市の中央部に位置する聖湖ルルドは湧水による淡水湖で、いくつかの支流が周辺部に流れている。
神の塔はこのルルド湖の中心にある浮島の上に立地している。

伝承によれば、ルルドの水は神の塔の地下より湧き出る聖なる水であり、決して尽きることがないと言う。
生命の月はこの水に浸されて保管されている。

魔都バビロン

シオウル・セルの本拠地があると言われる場所。シオウルを頂点とした閉鎖的な共同体が形成されている。
周囲に強大な結界が張られているため、地理的位置は特定できない。
結社の規模から、ひとつの町に相当するほどの住人が居住していると考えられるが、それほどの人口と生活空間を、誰の目にも触れられることなく、どのようにして収容しているのかは謎に包まれている。

焔の都エンキ

火那乃国の首都。火の一族の本家がある。

イントロンシティ

インディナス・マイヤーの本部が置かれている都市。
極めて情報集積度の高い街であるが、人口が少ないため地理的規模はさして大きくない。

クヌーセン

レジデンツの集落のひとつ。レジデンツの集落の中では比較的規模が大きく、長い歴史を持っている。
村の祭壇にはレジデンツが有する唯一の「生命の月」が奉られている。

古くから「箱舟」の伝説が残る地で、生命の月を司る司祭は、代々口伝で神代の時代の伝承を受け継いでいる。
近郊に「全ての終わり」の前から存在していると言う太古の遺跡「クムラン遺跡」がある。

アーラン

レジデンツの集落のひとつ。孤崖に近い山奥にある。

レイノルズ

ファティマ北部、教団領とインディナス・マイヤー領の境界にある寒村。
レックスの故郷。現在はアノマリーの巣となり、封鎖されている。

ブラントル

教団領辺境の町。リーオウの出身地であり、かつてアノマリーにより大きな被害を受けた。
現在は復興し、リーオウが教父を務める小さな教会がある。

チーレ

レーリー海に面した小さな漁村。近郊にビオ遺跡がある。ザジの故郷。

フルード

教団領と火那乃国の国境近くにある町。

ハッタ

火那乃国で奉られている霊山・火影のふもとにある村。
参詣にやってくる人々の宿場町となっている。

クムラン遺跡

クヌーセン近郊にある「全ての終わり」の前から存在していると言う太古の遺跡。
箱舟伝説の発祥の地であり、神の塔に描かれているものに似た図象と文字が刻まれている。

ビオ遺跡

かつてマルディスが神の智慧を得るために修行をしたと言われる場所。
現在は小さな遺跡と洞窟が残されているだけである。洞窟内はアノマリーの巣になっているため、立ち入り禁止区域になっている。
以前より、洞窟の奥には行方知れずのまま半ば伝説の剣と化している魔剣レーヴァテインが眠っているという言い伝えがあり、魔剣がアノマリーを呼び寄せているという実しやかな噂もあった。

霊山・火影

火那乃国領内に存在する山。元は活発な活火山であったが、現在は休火山である。
伝承によると、二千年前、火の一族の始祖であり、初代の「焔の巫子」であるアカツキ・シラヌイはこの場所で焔の神と契約を結び、一族を「全ての終わり」から護ったとされている。その為、火影は火那乃国では神聖な霊山とされている。 内部には火那乃国の所有する「生命の月」が祀られた祭壇と、焔の巫子の社が存在する。
焔の巫子は代々火の一族の頭領が兼任するしきたりになっているが、巫子となった者は「龍哭」と呼ばれる霊刀を特殊な方法で体内に封印され、社の中で焔神と繋がれることになる。

レーリー海

EUREKAに存在する唯一の『海』。海岸線は砂浜になっている。高温多湿な地方にあるため、泳ぐこともできる。

ロスビー雪原

インディナス・マイヤー領北部に広がる雪原。寒冷で生活には適さないが、レアメタルなどの資源に富んでいる。




TOPに戻る / 物語 / キャラクター / システム / ダウンロード / リンク / 製品情報 / スペシャル

2008-2014 CyberGeo

QLOOKアクセス解析